nobody knows diary

神経心理学や言語病理学について、読んだ論文をまとめています。

WMS-R

中島恵子:実践講座 神経心理学的検査の実際 WMS-R.総合リハ,44:321-324.2016

WMS-Rは、1987年アメリカでつくられたウェクスラー記憶検査改訂版をもとに、2001年杉下らにより刊行された。

 

【使用目的と特徴】

5つの記憶の側面から記憶障害をはかる記憶検査である。年齢適応範囲は16~74歳で、平均が100、標準偏差が15となるように標準化されている。

 

【結果の解釈】

1.言語性記憶

「論理的記憶Ⅰ」と「言語性対連合Ⅰ」の粗点から算出される。物語の再生課題では、話の筋を追ってまとめる力と細部に注意を払い記憶できる力をはかる。得点が低い場合は、記憶の容量が小さい、記銘力の低下、注意力の低下が考えられる。対連合学習ではイメージと関連させて覚える工夫(言語操作)が必要だ。

 

2.視覚性記憶

「図形の記憶」「視覚性対連合Ⅰ」「視覚性再生Ⅰ」の粗点から算出される。図形の記憶は、最初に見た図形を記憶し、他に干渉されずに見た図形を保持し、異同弁別できる力をはかる。低得点の場合は、干渉されやすい、細部への注意力が弱い、無意味図形の記銘力が弱い、などが考えられる。視覚性対連合Ⅰでは、色と無意味な形をセットにして覚える力をはかる。低得点の場合は、セット化(赤い金魚に形が似ている、等)の工夫が弱い。視覚再生Ⅰでは、形の記憶をはかる。線分がどの角度で交差しているか、どのような内包関係か、などを視覚的に記憶する。低得点の場合は、構成の把握力や細部への注意力が弱い(正確さに欠ける)ことが考えられる。

 

3.一般的記憶

言語性記憶と視覚性記憶の総合粗点から算出される。

 

4.注意/集中

「精神統制」「数唱」「視覚性記憶範囲」の粗点から算出される。精神統制は、落ち着いて簡単な課題に正確に取り組めるかをはかる。数唱は、ワーキングメモリをはかる。順正>逆唱が一般的で、逆唱が3桁以下であればワーキングメモリはかなり低く、遂行機能の低下も考え荒れる。視覚性記憶範囲は、位置を変えての動きの記憶をはかる。低得点では、動く順序の記憶が弱いと思われる。

 

5.遅延再生

「論理的記憶Ⅱ」「視覚性対連合Ⅱ」「言語性対連合Ⅱ」「視覚性再生Ⅱ」の粗点から指標が出る。30分以上経過後の再生能力をはかるため、特に復学・復職には必要となる。聴覚性記憶、視覚性記憶、それぞれの能力の特性を把握し、どのような大小手段が有効かを考える手掛かりとなる。たとえばここで、再生はできなくても再認が可能なことが分かれべ、どんなヒントが有効なのか(文or絵文字or記号など)代償手段をかんがえる手掛かりになる。

【最近のトピックス】

松村監訳『認知リハビリテーション実践ガイド』2015年、によると記憶訓練を「陳述記憶と遂行機能」の両方を高度に活用する訓練と、「洗剤記憶・手続き記憶」による学習の訓練に分けて述べている。ポイントは次の4つ。

①環境・患者の特性、②訓練プログラムの決定(何を教えれば生活が改善するのか、どこでターゲットタスクが使われるのか、ターゲットタスク実行のタイミング)、③ゴールの設定、④患者個別の計画デザインの詳細

 

(感想)

WMS-Rの検査結果をただしく分析し、患者様の生活向上のためにちゃんと活かせるようになりたいな。がんばろう。