nobody knows diary

神経心理学や言語病理学について、読んだ論文をまとめています。

老人性難聴の予防ってできるの?

山下裕司,菅原一真:感覚器の老化と抗加齢医学‐聴覚‐.日耳鼻 119:840‐845,2016

 

老人性難聴とは生理的な年齢変化により生じる難聴のことで、高齢者のQOLを著しく障害する。罹患者は多く、今後社会の高齢化が進めば、より一層深刻な問題となる。

その特徴としては、両側性感音難聴が進行し、高周波数帯域から閾値が上昇し、聴覚情報の中枢処理の遅延や音源定位の悪化が生じる。一般に騒音下での会話が困難となり、死因の弁別に困難を覚えたりする。さらに進行すると、母音の弁別も困難になり、コミュニケーションが高度に障害される。

 

 老人性難聴の発症に影響を与える因子としては、遺伝的要因、騒音暴露歴、喫煙、糖尿病・循環器疾患などの合併などが挙げられている。

 

(と、ここまでは従来から言われていたこと。筆者らはここからさらに老人性難聴の予防について自らがかかわる2つの研究について言及している。)

 

  1. 熱ショック応答による老人性難聴の予防に関する研究 
  2. マウスに熱負荷やてプレノンの投与により内耳に熱ショック応答を誘導することで、老人性難聴モデルマウスの難聴が抑制された。
  3. メタボリック症候群モデルマウスにおける難聴発症の機序と予防に関する研究
  4. メタボのマウスにカロリー制限を行うことで、内耳血管障害を抑制し難聴の進行を予防できた。

 

《感想》

言語聴覚士として老人性難聴の基礎知識は分かっていたはずだが、「予防」という重要な観点から難聴を勉強したことってなかった。大変勉強になった。難聴予防薬、期待しています!