nobody knows diary

神経心理学とその周辺のことについて、読んだ論文をまとめていきます。

フレゴリの錯覚と重複記憶錯誤の関係性について。

兼本浩祐:フレゴリ―症候群と地誌的重複記憶錯誤を示し側頭葉に顕著な萎縮を示した1例.精神医学33:195‐197,1991

 

 フレゴリー症候群とは、特定の何者かが様々の形に姿を変えて自分を迫害するという稀な訴えの事である。

 

 これまでは、分裂病(原文表現まま)との関連において論じられることが多かったが、近年は器質的な疾患を合併することが指摘されている。

 

 この稿では、躁うつ病の経過中にフレゴリー症候群と重複記憶錯誤を呈した症例の報告をしている。 

 

 症例は58歳の女性で、38歳から躁うつ病を患っており、48歳の時にはギラン・バレー症候群に罹患しており、後遺症精査の為に筆者の勤める病院に入院していた。

 

 入院当初は問題なく過ごしていたが、やがて患者は、同室患者の一人や看護師の一人について、なまぐさ坊主が姿を変えて現れたと事実と異なる主張をするようになった。

 

 更に、自分の今いる場所についても寺であると言い、「昨晩はここと似た別の寺にトラックで運ばれた」と場所に関する重複記憶錯誤も同時に語られた。

 

 このような訴えは約1週間続いて消失したという。

 

 本例は「なまぐさ坊主」が周囲の複数の人物に変装してあられる点で、フレゴリ―症候群と呼びうる臨床像を呈していた。

 

 フレゴリ―症候群は陽性替え玉妄想と呼ばれることがあるが、Alexanderら(1979)はこの替え玉妄想は一種の重複記憶錯誤ではないかと指摘している。

 

 その論拠の一つが、重複記憶錯誤のびまん性前頭葉障害+右半球障害説であった。

 

 また、本例の妄想内容の特徴は、重複記憶錯誤の対象は看護婦・病院といった医療関係の者であり、これが患者にとって親しい対象であった寺・僧侶と置き換わっていることであった。

 

 これは、Weinstein(1955)の指摘した重複記憶錯誤は一種の疾病否認であるという説とも一致していた。

 

 

 

●つぶやき●

兼本先生のフレゴリについての論文は、もう一本の総説の方も然り、もう何回も読み返している。

 

今日はこの稿を読んでいて、Alexander(1979)とBenson(1976)もチェックしなくちゃいけないと思った。

Alexander(1979)を引用するかたちで、

替え玉妄想と重複記憶錯誤が関連性を示す論拠として”びまん性前頭葉障害+右大脳半球障害説”ってあったけど、、、、

これは重複記憶錯誤の病巣が、替え玉妄想の病巣とも一致する、だから両社は関連があるっていうことなのかな?

だとすると同一の病巣を持った神経心理学的症状は互いに関連している、ってなると思うけど、例えば左半側空間無視と視覚性記銘力低下は関連している、みたいなあまり意味のない議論をしていることになっちゃうな・・・。

むしろその後の、医療関連の人や場所が、患者にとってなじみのある僧侶・寺に置き換わっている点こそが、フレゴリ症候群と重複記憶錯誤の共通項みたいで、そちらの方が両者の関連性を示唆する本質的な特徴のような気がする。 

 

モゴモゴ・・・・。